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福岡家庭裁判所 平成2年(少)436号 決定 1990年9月28日

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(非行事実)

本件記録中の少年に関する司法警察員作成の平成2年2月23日付け少年事件送致書記載の審判に付すべき事由と同一であるから、これをここに引用する。

(法令の適用)

少年の上記非行は少年法3条1項3号のイ、ロ、ハ、ニに該当する。

(処遇の理由)

本件記録及び審判の結果を総合すれば、上記非行事実が認められ、少年の資質、生活環境、殊に、少年は幼少時から養護施設に預けられ、父母の愛に恵まれずに育ち、中学2年のころから怠学が目立つようになり、中学卒業後母親に引き取られたが、感情の円滑な交流ができないまま、欲求不満的な非行への傾斜が認められ、夜遊び、バイク盗、無免許運転、暴走、シンナー吸引などの非行を重ねた形跡も窺われることに照らせば、少年の再非行の危険性は大きく、これまでに示してきた自己統制力の乏しさを考え併せると、少年がようやく見せ始めた反省の情を考慮に入れても、その要保護性は高いと認められる。従って、少年の健全な育成を期するためには、この際少年を中等少年院に収容保護して、規則正しい生活訓練の中で、基本的な社会生活慣習を習得させるとともに、素直な社会観や健全な価値観を養い、規範意識を高めて、堅実な目標をもった生活を辛抱強く維持することができるように、専門的で徹底した矯正教育を施す一方、保護者に対しても少年の指導に関して、少年の指導監督のあり方について専門的見地からの助言を与え、母子関係の改善を図ることが必要且つ相当である。

よって、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項、少年院法2条2項を適用して、主文のとおり決定する。

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